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こんにちは。
前回は、形容詞の活用、の前半を学習しました。
今日は、
形容詞の活用、の後半
です。
具体的には、
形容詞の語幹の特別用法
というやつをやります。
形容詞を具体的にいくつか挙げてみましょう。
とりあえず、「はやし」(※早い、速い)、「なし」(※無し)、「たふとし」(※尊い)の3つをあげておきます。
語幹はそれぞれ、「はや」「な」「たふと」ですね。
形容詞の語幹は、基本形(終止形)がわかっていれば、末尾の「し」を除いたものが語幹でした。
「し」は終止形の活用語尾になるんでしたね。
この「はや」「な」「たふと」といったような語幹を使った特別な用法が3つあるのです。
以下の3つです。
1.感嘆表現
2.連体修飾語をつくる
3.和歌中で原因・理由を表す
1.感嘆表現について具体的に考えてみましょう。
「あな」「あら」(※ああ、まあ)という感動詞が来て、次に形容詞の語幹が続きます。
これが、感動表現になるんです。
例えば、「あなはや」だと、「ああ、速いなあ」になり、「あらたふと」だと「ああ、尊いなあ」になります。
「あなかま」は連語として「静かにしなさい」と覚えさせられますが、直訳すると、「ああうるさいなあ」なんですね(「かま」は形容詞「かまし」(※うるさい)の語幹)。
余談ですが、文末に感嘆符「!」を付けないでくださいね。
感嘆符「!」は英語の表現のしかたで、原則、日本語の表現のしかたではないですから。
2.連体修飾語をつくる場合について考えてみましょう。
はじめに例を挙げると、「幼(をさな)の君」という表現があるのですが、意味としては「幼い主君」です。
説明すると、形容詞「幼し」の語幹「幼」に、助詞の「の」が接続し、それが「君」という体言を修飾しています。
形容詞の語幹に、助詞の「の」が付き、それらが全体で、続く体言を修飾しているのですね。
このようにして、形容詞の語幹が「連体修飾語をつくる」のです。
「幼き君」と何が違うんだ、という声が聞こえてきそうですね。
特別用法の場合、ちょっとした強調表現だと思っておいてください。
「幼い」という気持ちを強調しています。
強調したニュアンスを訳出する必要はありません。
3.和歌中で原因・理由を表す場合について考えてみましょう。
例をあげると、「瀬をはやみ」で始まる和歌があるのですが、この「瀬をはやみ」は「川の流れがはやいので」と訳します。
これを説明しますと、「瀬」は「川の流れ」、「を」は助詞ですね、「はや」が形容詞「はやし」の語幹、それに「み」という接尾辞が付いてます。
この、形容詞の語幹に「み」が付くことで、原因・理由を表し、上の例では「はや」に「み」が付いて、「はやいので」と訳しているのです。
何がはやいのか、ということについてなのですが、この「何が」という主体に当たるものには、「を」を付けて表します(何もつけないこともありますが)。
上の例では、「瀬を」となっていますね。
「を」がついていると、どうしても目的語のような気がしてしまいますので、間違えないようにしてくださいね。
さて、以上で形容詞の語幹の特別用法の解説は終了なんですが、一つ補足があります。
実は、今まであげていた形容詞は全てク活用の形容詞であることに気付いていましたか。
形容詞の語幹の特別用法、というのはク活用の形容詞について成立します。
ただ、これはシク活用の形容詞だと特別用法が成立しないというのではなく、シク活用の場合、基本形(終止形)がク活用の語幹と同じ役割を果たすということです。
例えば、シク活用の「うつくし」(※かわいい)の場合、
1.は、「あなうつくし」(※ああ、かわいいなあ)
2.は、「うつくしの」(※かわいい-)
3.は、「うつくしみ」(※かわいいので)
になる、ということです。
さて、以上で、形容詞の活用の後半が終了です。
これで、用言の活用、は残すところ、形容動詞1回となりました。
今回も手を動かして体得し、最後の回に進みましょう。
(添付ファイル後日)
前回は、形容詞の活用、の前半を学習しました。
今日は、
形容詞の活用、の後半
です。
具体的には、
形容詞の語幹の特別用法
というやつをやります。
形容詞を具体的にいくつか挙げてみましょう。
とりあえず、「はやし」(※早い、速い)、「なし」(※無し)、「たふとし」(※尊い)の3つをあげておきます。
語幹はそれぞれ、「はや」「な」「たふと」ですね。
形容詞の語幹は、基本形(終止形)がわかっていれば、末尾の「し」を除いたものが語幹でした。
「し」は終止形の活用語尾になるんでしたね。
この「はや」「な」「たふと」といったような語幹を使った特別な用法が3つあるのです。
以下の3つです。
1.感嘆表現
2.連体修飾語をつくる
3.和歌中で原因・理由を表す
1.感嘆表現について具体的に考えてみましょう。
「あな」「あら」(※ああ、まあ)という感動詞が来て、次に形容詞の語幹が続きます。
これが、感動表現になるんです。
例えば、「あなはや」だと、「ああ、速いなあ」になり、「あらたふと」だと「ああ、尊いなあ」になります。
「あなかま」は連語として「静かにしなさい」と覚えさせられますが、直訳すると、「ああうるさいなあ」なんですね(「かま」は形容詞「かまし」(※うるさい)の語幹)。
余談ですが、文末に感嘆符「!」を付けないでくださいね。
感嘆符「!」は英語の表現のしかたで、原則、日本語の表現のしかたではないですから。
2.連体修飾語をつくる場合について考えてみましょう。
はじめに例を挙げると、「幼(をさな)の君」という表現があるのですが、意味としては「幼い主君」です。
説明すると、形容詞「幼し」の語幹「幼」に、助詞の「の」が接続し、それが「君」という体言を修飾しています。
形容詞の語幹に、助詞の「の」が付き、それらが全体で、続く体言を修飾しているのですね。
このようにして、形容詞の語幹が「連体修飾語をつくる」のです。
「幼き君」と何が違うんだ、という声が聞こえてきそうですね。
特別用法の場合、ちょっとした強調表現だと思っておいてください。
「幼い」という気持ちを強調しています。
強調したニュアンスを訳出する必要はありません。
3.和歌中で原因・理由を表す場合について考えてみましょう。
例をあげると、「瀬をはやみ」で始まる和歌があるのですが、この「瀬をはやみ」は「川の流れがはやいので」と訳します。
これを説明しますと、「瀬」は「川の流れ」、「を」は助詞ですね、「はや」が形容詞「はやし」の語幹、それに「み」という接尾辞が付いてます。
この、形容詞の語幹に「み」が付くことで、原因・理由を表し、上の例では「はや」に「み」が付いて、「はやいので」と訳しているのです。
何がはやいのか、ということについてなのですが、この「何が」という主体に当たるものには、「を」を付けて表します(何もつけないこともありますが)。
上の例では、「瀬を」となっていますね。
「を」がついていると、どうしても目的語のような気がしてしまいますので、間違えないようにしてくださいね。
さて、以上で形容詞の語幹の特別用法の解説は終了なんですが、一つ補足があります。
実は、今まであげていた形容詞は全てク活用の形容詞であることに気付いていましたか。
形容詞の語幹の特別用法、というのはク活用の形容詞について成立します。
ただ、これはシク活用の形容詞だと特別用法が成立しないというのではなく、シク活用の場合、基本形(終止形)がク活用の語幹と同じ役割を果たすということです。
例えば、シク活用の「うつくし」(※かわいい)の場合、
1.は、「あなうつくし」(※ああ、かわいいなあ)
2.は、「うつくしの」(※かわいい-)
3.は、「うつくしみ」(※かわいいので)
になる、ということです。
さて、以上で、形容詞の活用の後半が終了です。
これで、用言の活用、は残すところ、形容動詞1回となりました。
今回も手を動かして体得し、最後の回に進みましょう。
(添付ファイル後日)
PR
こんにちは。
前回までの10回で動詞の活用について学習しました。
今日は、
形容詞の活用
の学習の前半です。
まず、古語の形容詞がどんなものかということを確認しておきましょう。
古語の形容詞とは、ものの性質や状態、人の心情を表し、言い切りが「し」(※現代語では「い」)になるもの、と理解しておいてくださいね。
具体的には、「うつくし」「たかし」「をかし」など多数あります。
次に、形容詞は活用するときに最後の「し」が脱落するものと残るものによって2つに分けられます。
脱落するものをク活用の形容詞と呼び、脱落しないものをシク活用の形容詞と呼びます。
見分ける方法は後ろに動詞の「なる」を接続させて形容詞を活用させてみるとよいのです。
そうすると「し」が脱落するものと残るものがわかります。
上記の形容詞でやってみますと、「うつくしく・なる」「たかく・なる」「をかしく・なる」で、それぞれシク活用、ク活用、シク活用です。
形容詞は語幹と活用語尾がきれいに分かれ、ク活用シク活用を問わず、言い切りの形から「し」を除いた部分が語幹になり、「し」が終止形の活用語尾に当たります。
「うつくし」だと、「うつく」が語幹で「し」が活用語尾ですね、「たかし」だと「たか」が語幹で「し」が活用語尾ですね。
以下に「たかし」を例にク活用の活用表を示します。
補助活用は副活用、またはカリ活用と呼ばれることもあり、ラ変型の活用であることを覚えておきましょう。
形容詞の補助活用がラ変型であることは、あとでとても重要な意味を持ってきます。
シク活用の活用表については乱暴な言い方をすれば暗記する必要はありません。
なぜなら、ク活用の活用語尾の頭に「し」を加えればシク活用の活用語尾になるからです(※終止形はク活用もシク活用も「し」が活用語尾)。
要は、ク活用とシク活用の違いは活用したときに「し」が脱落するかしないかの問題なのですから。
「うつくし」を例に、シク活用の活用表を示しておきます。
主活用の未然形、連用形がウ音便化しやすいことに注意しておきましょう。
「うつくしく」だったら「うつくしう」と、「たかく」だったら「たかう」と、「をかしく」だったら「をかしう」と文章で書かれていることはよくあります。
形容詞は古語を暗記するときに苦労すると思います。
暗記すべき古語のうち半数ぐらいは形容詞になるはずです。
文脈で意味を変える多義語も多く、派生的な意味まで全て覚えるとキリがないので、古語の語源を意識して、その古語の持つ意味あいをできるだけ理解するようにして、代表的な意味1~3語を覚えていくというやりかたが、将来的に苦労しなくてすみます。
最初のうちはなかなかそこまでするのは難しいかも知れませんが、後になればなるほどそういった点が重要になることを知っておいてください。
さて、では以上で、今日の形容詞の活用の学習は終了です。
添付の問題を解いて、体得してから次に進みましょう。
(添付ファイル後日)
前回までの10回で動詞の活用について学習しました。
今日は、
形容詞の活用
の学習の前半です。
まず、古語の形容詞がどんなものかということを確認しておきましょう。
古語の形容詞とは、ものの性質や状態、人の心情を表し、言い切りが「し」(※現代語では「い」)になるもの、と理解しておいてくださいね。
具体的には、「うつくし」「たかし」「をかし」など多数あります。
次に、形容詞は活用するときに最後の「し」が脱落するものと残るものによって2つに分けられます。
脱落するものをク活用の形容詞と呼び、脱落しないものをシク活用の形容詞と呼びます。
見分ける方法は後ろに動詞の「なる」を接続させて形容詞を活用させてみるとよいのです。
そうすると「し」が脱落するものと残るものがわかります。
上記の形容詞でやってみますと、「うつくしく・なる」「たかく・なる」「をかしく・なる」で、それぞれシク活用、ク活用、シク活用です。
形容詞は語幹と活用語尾がきれいに分かれ、ク活用シク活用を問わず、言い切りの形から「し」を除いた部分が語幹になり、「し」が終止形の活用語尾に当たります。
「うつくし」だと、「うつく」が語幹で「し」が活用語尾ですね、「たかし」だと「たか」が語幹で「し」が活用語尾ですね。
以下に「たかし」を例にク活用の活用表を示します。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 備考 |
たかし | たか |
く から |
く かり |
し |
き かる |
けれ |
かれ |
主活用 補助活用 |
補助活用は副活用、またはカリ活用と呼ばれることもあり、ラ変型の活用であることを覚えておきましょう。
形容詞の補助活用がラ変型であることは、あとでとても重要な意味を持ってきます。
シク活用の活用表については乱暴な言い方をすれば暗記する必要はありません。
なぜなら、ク活用の活用語尾の頭に「し」を加えればシク活用の活用語尾になるからです(※終止形はク活用もシク活用も「し」が活用語尾)。
要は、ク活用とシク活用の違いは活用したときに「し」が脱落するかしないかの問題なのですから。
「うつくし」を例に、シク活用の活用表を示しておきます。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 備考 |
うつくし | うつく |
しく しから |
しく しかり |
し |
しき しかる |
しけれ |
しかれ |
主活用 補助活用 |
主活用の未然形、連用形がウ音便化しやすいことに注意しておきましょう。
「うつくしく」だったら「うつくしう」と、「たかく」だったら「たかう」と、「をかしく」だったら「をかしう」と文章で書かれていることはよくあります。
形容詞は古語を暗記するときに苦労すると思います。
暗記すべき古語のうち半数ぐらいは形容詞になるはずです。
文脈で意味を変える多義語も多く、派生的な意味まで全て覚えるとキリがないので、古語の語源を意識して、その古語の持つ意味あいをできるだけ理解するようにして、代表的な意味1~3語を覚えていくというやりかたが、将来的に苦労しなくてすみます。
最初のうちはなかなかそこまでするのは難しいかも知れませんが、後になればなるほどそういった点が重要になることを知っておいてください。
さて、では以上で、今日の形容詞の活用の学習は終了です。
添付の問題を解いて、体得してから次に進みましょう。
(添付ファイル後日)
こんにちは。
前回は下二段活用の動詞について学習しました。
今回はいよいよ動詞の活用の最後、
四段活用
について学習します。
まず、活用表からいきます。
四段活用という名称になっている理由はわかりますか。
これまでと同じ理屈です。
そう、五段音のうち、ア・イ・ウ・エ(a・i・u・e)の4つの段を使って活用しているので四段活用です。
具体的に、四段活用の「咲く」という動詞を使って活用表をつくってみましょう。
四段活用の動詞は最後の文字が活用語尾に当たり、その活用語尾を除いた部分が語幹に当たります。
語幹とは、簡単にいえば、動詞の活用しない部分、活用語尾は活用する部分でしたね。
「咲く」でいえば、「咲」が語幹で、「く」が活用語尾です。
「咲く」の活用表を以下に示しますので、上の活用表とよく照らし合わせ、対応を確認しておいてくださいね。
四段活用に属する動詞を覚える必要はありません。
数が多すぎます。
上二段活用や下二段活用と同じですね。
四段活用であることの見分け方は、上二段活用や下二段活用と同じ要領で、今度も未然形に着目しますが、四段活用の場合は未然形がア段音になっていることが特徴です。
要領を確認しておきましょう。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がア段音の文字で終われば、それは四段活用であると判断できる。
具体例を挙げて検討してみます。
古語で「行く」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「行か・ず」となりますね。
「行か」が未然形です。
「か」はア段音の文字なので、「行く」は四段活用であることがわかります
基本形(終止形)については、上二段活用、下二段活用のように、古語と現代語が一致しないという問題は生じません。
ですから、基本形(終止形)を間違えるという問題は生じません。
今、見た例でいえば「行く」は古語も現代語も同じでしょう。
四段活用の基本形(終止形)は古語も現代語も同じなのです。
行については、どの活用形でもよいので最後の文字の行が、その四段活用動詞の行になります。
「行く」だとカ行ですね。
紛らわしい、注意すべき動詞を挙げておきます。
四段活用であると判断しにくいのは以下の動詞です。
「飽く」「借る」「足る」
「ず」を接続させてみると、「飽き・ず」「借り・ず」「足り・ず」と普通してしまいますよね。
これだと上二段活用になってしまいますが、実は正解は「飽か・ず」「借ら・ず」「足ら・ず」で、四段活用なのです。
なお、「飽く」「借る」「足る」ついては、現代語を考えてみると「飽きる」「借りる」「足りる」ですよね。
四段活用なのに、基本形(終止形)が古語と現代語で一致しません。
いろいろと例外的な動詞です。
さて、これで用言のうち動詞の活用は終わりです。
10回の長きにわたりお疲れ様でした!
用言の活用は残り、形容詞2回、形容動詞1回の3回です。
あともう一息です。
今日も、演習し、体得して次に進みましょう!
(添付ファイル後日)
前回は下二段活用の動詞について学習しました。
今回はいよいよ動詞の活用の最後、
四段活用
について学習します。
まず、活用表からいきます。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
a | i | u | u | e | e |
四段活用という名称になっている理由はわかりますか。
これまでと同じ理屈です。
そう、五段音のうち、ア・イ・ウ・エ(a・i・u・e)の4つの段を使って活用しているので四段活用です。
具体的に、四段活用の「咲く」という動詞を使って活用表をつくってみましょう。
四段活用の動詞は最後の文字が活用語尾に当たり、その活用語尾を除いた部分が語幹に当たります。
語幹とは、簡単にいえば、動詞の活用しない部分、活用語尾は活用する部分でしたね。
「咲く」でいえば、「咲」が語幹で、「く」が活用語尾です。
「咲く」の活用表を以下に示しますので、上の活用表とよく照らし合わせ、対応を確認しておいてくださいね。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
咲く | 咲 | か | き | く | く | け | け |
四段活用に属する動詞を覚える必要はありません。
数が多すぎます。
上二段活用や下二段活用と同じですね。
四段活用であることの見分け方は、上二段活用や下二段活用と同じ要領で、今度も未然形に着目しますが、四段活用の場合は未然形がア段音になっていることが特徴です。
要領を確認しておきましょう。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がア段音の文字で終われば、それは四段活用であると判断できる。
具体例を挙げて検討してみます。
古語で「行く」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「行か・ず」となりますね。
「行か」が未然形です。
「か」はア段音の文字なので、「行く」は四段活用であることがわかります
基本形(終止形)については、上二段活用、下二段活用のように、古語と現代語が一致しないという問題は生じません。
ですから、基本形(終止形)を間違えるという問題は生じません。
今、見た例でいえば「行く」は古語も現代語も同じでしょう。
四段活用の基本形(終止形)は古語も現代語も同じなのです。
行については、どの活用形でもよいので最後の文字の行が、その四段活用動詞の行になります。
「行く」だとカ行ですね。
紛らわしい、注意すべき動詞を挙げておきます。
四段活用であると判断しにくいのは以下の動詞です。
「飽く」「借る」「足る」
「ず」を接続させてみると、「飽き・ず」「借り・ず」「足り・ず」と普通してしまいますよね。
これだと上二段活用になってしまいますが、実は正解は「飽か・ず」「借ら・ず」「足ら・ず」で、四段活用なのです。
なお、「飽く」「借る」「足る」ついては、現代語を考えてみると「飽きる」「借りる」「足りる」ですよね。
四段活用なのに、基本形(終止形)が古語と現代語で一致しません。
いろいろと例外的な動詞です。
さて、これで用言のうち動詞の活用は終わりです。
10回の長きにわたりお疲れ様でした!
用言の活用は残り、形容詞2回、形容動詞1回の3回です。
あともう一息です。
今日も、演習し、体得して次に進みましょう!
(添付ファイル後日)
こんにちは。
前回は上二段活用について学びました。
今日は、
下二段活用
について学びましょう。
まず、下二段活用の活用表からです。
どうでしょうか、もう気づいている人もいるかも知れませんが、下一段活用のときに上一段活用の“i”を“e”に置き換えたように、下二段活用も上二段活用の“i”を“e”に置き換えただけです。
次に、その動詞が下二段活用であることを見分ける方法ですが、これも同様です。
以下に示します。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、属する活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がエ段音の文字で終われば、それは下二段活用であると判断できる。
イ段音をエ段音に、上二段活用を下二段活用に直しているだけです。
具体例で確認してみます。
古語で「受く」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「受け・ず」となりますね。
「受け」が未然形です。
「け」はエ段音の文字なので、「受く」は下二段活用であることがわかります
基本形(終止形)の考え方についても、上二段活用で考えた内容がそのまま当てはまります。
古語の下二段活用の動詞については、現代語と基本形(終止形)が一致しません。
基本形(終止形)がわからない場合の、基本形(終止形)の求め方は、これも上二段活用の場合と同じ要領で以下の通りです。
まず、いったん現代語の基本形(終止形)にします。
上の例では「受ける」ですね。
そうしても、活用の型は間違えません。
例えば、「受ける」でも「ず」をつけてみると「受け・ず」となって、未然形がエ段音ですから下二段活用と判断できますね。
かりに、ラ抜き言葉を許容するとして「受けれ・ず」、また「受けられ・ず」としてしまったのなら、どちらも「受けることができない」の意味で、可能の意味が加わっているので、こういうのはダメです。
「受け」が下二段活用で未然形であることがわかると、「け」を「く」に直した、「受く」が基本形(終止形)ということです。
行については、上記の流れでいえば、未然形の最後の文字で判断してもらってもいいですし、基本形(基本形)の最後の文字で判断してもらっても、どちらでも大丈夫です。
「受け」でも「受く」でも、カ行と判断できますね。
さて、あとは注意すべき下二段活用の動詞ですね。
まず、下二段活用であることが判断しづらい動詞はありません。
行が判断しづらい下二段活用の動詞は以下の通りです。
ワ行「植う」「飢う」「据う」
ア行「得」(「所得」「心得」)
意味は現代語の言い切りに直すと見当がつくはずです。
「植える」「飢える」「据える」と「得る」ですから。
「据える」が難しいかな、ずっと置く、です。
なお、ヤ行の動詞もワ行・ア行との区別がわかりづらいのですが、ヤ行の動詞は数が多いので、ワ行でもア行でもないものがヤ行である、と考えて判断してください。
あと、意外に困るが以下の一語動詞3つです。
「得」(う)、「経」(ふ)「寝」(ぬ)
上の3つは、平仮名で書かれると動詞であることに気がつかないんですよね。
文法のときにできても文章のときに間違えます。
意識して頭の片隅に置いておかないといけません。
あと、そうですね、今見た「寝」が「いぬ」「いもぬ」と形を変えていることがあって、それも意外に試験で狙われやすいので注意ですね。
意味は「寝」「いぬ」「いもぬ」いずれも同じ、寝る、という意味です。
「経」は、経る、または、経つ、ですね。
さて、以上で下二段活用の動詞の学習は終了です。
今回も手を動かして問題を解き、体得してから進みましょう。
次回はいよいよ、用言の活用のうち、動詞の活用の型の最後、四段活用です。
(添付ファイル後日)
前回は上二段活用について学びました。
今日は、
下二段活用
について学びましょう。
まず、下二段活用の活用表からです。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
e | e | u | uる | uれ | eよ |
どうでしょうか、もう気づいている人もいるかも知れませんが、下一段活用のときに上一段活用の“i”を“e”に置き換えたように、下二段活用も上二段活用の“i”を“e”に置き換えただけです。
次に、その動詞が下二段活用であることを見分ける方法ですが、これも同様です。
以下に示します。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、属する活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がエ段音の文字で終われば、それは下二段活用であると判断できる。
イ段音をエ段音に、上二段活用を下二段活用に直しているだけです。
具体例で確認してみます。
古語で「受く」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「受け・ず」となりますね。
「受け」が未然形です。
「け」はエ段音の文字なので、「受く」は下二段活用であることがわかります
基本形(終止形)の考え方についても、上二段活用で考えた内容がそのまま当てはまります。
古語の下二段活用の動詞については、現代語と基本形(終止形)が一致しません。
基本形(終止形)がわからない場合の、基本形(終止形)の求め方は、これも上二段活用の場合と同じ要領で以下の通りです。
まず、いったん現代語の基本形(終止形)にします。
上の例では「受ける」ですね。
そうしても、活用の型は間違えません。
例えば、「受ける」でも「ず」をつけてみると「受け・ず」となって、未然形がエ段音ですから下二段活用と判断できますね。
かりに、ラ抜き言葉を許容するとして「受けれ・ず」、また「受けられ・ず」としてしまったのなら、どちらも「受けることができない」の意味で、可能の意味が加わっているので、こういうのはダメです。
「受け」が下二段活用で未然形であることがわかると、「け」を「く」に直した、「受く」が基本形(終止形)ということです。
行については、上記の流れでいえば、未然形の最後の文字で判断してもらってもいいですし、基本形(基本形)の最後の文字で判断してもらっても、どちらでも大丈夫です。
「受け」でも「受く」でも、カ行と判断できますね。
さて、あとは注意すべき下二段活用の動詞ですね。
まず、下二段活用であることが判断しづらい動詞はありません。
行が判断しづらい下二段活用の動詞は以下の通りです。
ワ行「植う」「飢う」「据う」
ア行「得」(「所得」「心得」)
意味は現代語の言い切りに直すと見当がつくはずです。
「植える」「飢える」「据える」と「得る」ですから。
「据える」が難しいかな、ずっと置く、です。
なお、ヤ行の動詞もワ行・ア行との区別がわかりづらいのですが、ヤ行の動詞は数が多いので、ワ行でもア行でもないものがヤ行である、と考えて判断してください。
あと、意外に困るが以下の一語動詞3つです。
「得」(う)、「経」(ふ)「寝」(ぬ)
上の3つは、平仮名で書かれると動詞であることに気がつかないんですよね。
文法のときにできても文章のときに間違えます。
意識して頭の片隅に置いておかないといけません。
あと、そうですね、今見た「寝」が「いぬ」「いもぬ」と形を変えていることがあって、それも意外に試験で狙われやすいので注意ですね。
意味は「寝」「いぬ」「いもぬ」いずれも同じ、寝る、という意味です。
「経」は、経る、または、経つ、ですね。
さて、以上で下二段活用の動詞の学習は終了です。
今回も手を動かして問題を解き、体得してから進みましょう。
次回はいよいよ、用言の活用のうち、動詞の活用の型の最後、四段活用です。
(添付ファイル後日)
こんにちは。
前回は下一段活用の動詞(※「蹴る」の1語だけでした)について学習しました。
今日は9種類ある動詞の活用の型のうち7つ目、5つある正格活用でいえば、上一段活用、下一段活用に続いて3つ目の、
上二段活用
について学習しましょう。
上二段活用に属する動詞なのですが、これは覚える必要はありません。
数が多すぎて覚える意味がありません。
活用表を示しますので、まず、こちらを覚えてください。
何度でも書く、口で唱える、ドリル(※最後に添付)を解くなどして条件反射でサッと出るようにしておきます。
この活用表に即して、上二段活用の動詞は活用します。
上二段活用の動詞「起く」を例にして、具体的な活用表を作成してみましょう。
「起く」の「起」は語幹として活用しない部分、「く」が活用語尾として変化する部分に当たりますので、
となります。
「起く」の活用語尾の「く」が、最初に示した活用表のローマ字のところに即して、変化している様子をよく確認してくださいね。
念のため、もう一つ上二段活用の動詞「落つ」を使った活用表を示しておきます。
さて、ここで未然形が最初の表では“i”になっていること、また同じく「起く」「落つ」の未然形では「起き」「落ち」になっていること、すなわち上二段活用は未然形がイ段音の文字で終わること、に注意してください。
最初に私は、上二段活用に属する動詞は覚えなくていい、と書きました。
実は、この未然形がイ段音であることに着目して、上二段活用であることを判断するんです。
具体的な手順としては以下のようになります。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、属する活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がイ段音の文字で終われば、それは上二段活用であると判断できる。
具体例で確認してみます。
古語で「落つ」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「落ち・ず」となりますね。
「落ち」が未然形です。
「ち」はイ段音の文字なので、「落つ」は上二段活用であることがわかります。
なお、ほとんど上記の方法で判断できるのですが、例外的に判断が困難な動詞もあります。
それらは覚えておくしかありません。
具体的には、「恨む」と「忍ぶ」は、上二段活用と覚えておくしかありません。
なぜなら、「ず」をつけて未然形を判断しようとすると、「恨ま・ず」、「忍ば・ず」としてしまって、未然形がア段音になってしまいます。
ですが、「恨み・ず」、「忍び・ず」が正解で、イ段音ですから、上二段活用なんです。
これは難しい。
ちなみに、東京の上野に「忍ばずの池」がありますが、あれは古典文法に即してはいないのですね。
「行」の判断は、例えば、今見た例でいえば、「ず」の前の文字の行で判断します。
「恨み」は「み」でマ行、「忍び」は「び」でバ行ですね。
もちろん、基本形(※終止形)がわかっていれば、その最後の文字で判断してもかまいません。
「恨む」は「む」でマ行、「忍ぶ」は「ぶ」でバ行ですね。
ただ、最初のうちは基本形(終止形)があらかじめ示されていないと、基本形(終止形)はわからないと思います。
ここで、上二段活用の動詞の基本形(終止形)について考えてみましょう。
上で「起く」、また「落つ」という動詞を挙げましたが、これは現代語としては変ですね。
現代語では「起きる」、また「落ちる」です。
上二段動詞については古語と現代語では基本形(終止形)が一致しないんです(※「恨む」「忍ぶ」はこの点でも例外)。
ですから、最初は基本形(終止形)をけっこう間違えます。
それが原因で活用の型も間違えます。
では、どうすれば、基本形(終止形)がわかるのでしょうか。
まず、いったん現代語の基本形(終止形)にしてみてください。
上の例では「起きる」「落ちる」ですね。
そうしても、活用の型は間違えません。
例えば、「起きる」、また「落ちる」でも、「ず」をつけてみると、「起き・ず」、また「落ち・ず」となって、未然形がイ段音ですから上二段活用と判断できますね。
もし、「起きれ・ず」としてしまったのなら、「起きれず」は「起きることができない」の意味で、可能の意味が加わっているので、こういうのはダメなんです。
ここで、最初に、覚えてください、と書いた活用表を思い出しましょう。
再掲します。
未然形がわかると、基本形(終止形)もわかることに気がつきましたか。
未然形は“i”で、終止形は“u”になっていますね。
ですから、「起き」ではイ段音の「き」をウ段音の「く」に、すなわち「起く」にすれば、それが基本形(終止形)なんです。
「落ち」ではイ段音の「ち」をウ段音の「つ」に、すなわち「落つ」にすれば、それが基本形(終止形)なんです。
ですから、上二段活用であることと未然形がわかれば、基本形(終止形)も、実はわかるんです。
最後に上二段活用の動詞で、ヤ行の動詞、以下3つ覚えておきましょう。
「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」
の3つです。
なぜかというと、例えばこれらが未然形の時など「老い」「悔い」「報い」となって、ア行かヤ行か区別がつかないのですね。
おっと忘れてました、なぜ上二段活用と呼ばれるのか、説明しておきましょう。
活用表をまたまた掲示します。
“i”と“u”で活用していますね。
つまり、イ段音とウ段音で活用しています。
五段音を縦にして考えてみると、ウ段音は真ん中ですが、イ段音も合わせて考えてみると、全体的には上の方です。
上の方の二段音を使って活用するので、
上二段活用
なんです。
さて、以上で上二段活用の学習は終わりです。
9つある活用の型もあと残り2つです。
次回は、残りの2つのうちの1つ、下二段活用について学習します。
今回も、問題を解いて体得して、次に進みましょう。
(問題は後日添付)
前回は下一段活用の動詞(※「蹴る」の1語だけでした)について学習しました。
今日は9種類ある動詞の活用の型のうち7つ目、5つある正格活用でいえば、上一段活用、下一段活用に続いて3つ目の、
上二段活用
について学習しましょう。
上二段活用に属する動詞なのですが、これは覚える必要はありません。
数が多すぎて覚える意味がありません。
活用表を示しますので、まず、こちらを覚えてください。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
i | i | u | uる | uれ | iよ |
何度でも書く、口で唱える、ドリル(※最後に添付)を解くなどして条件反射でサッと出るようにしておきます。
この活用表に即して、上二段活用の動詞は活用します。
上二段活用の動詞「起く」を例にして、具体的な活用表を作成してみましょう。
「起く」の「起」は語幹として活用しない部分、「く」が活用語尾として変化する部分に当たりますので、
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
起く | 起 | き | き | く | くる | くれ | きよ |
となります。
「起く」の活用語尾の「く」が、最初に示した活用表のローマ字のところに即して、変化している様子をよく確認してくださいね。
念のため、もう一つ上二段活用の動詞「落つ」を使った活用表を示しておきます。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
落つ | 落 | ち | ち | つ | つる | つれ | ちよ |
さて、ここで未然形が最初の表では“i”になっていること、また同じく「起く」「落つ」の未然形では「起き」「落ち」になっていること、すなわち上二段活用は未然形がイ段音の文字で終わること、に注意してください。
最初に私は、上二段活用に属する動詞は覚えなくていい、と書きました。
実は、この未然形がイ段音であることに着目して、上二段活用であることを判断するんです。
具体的な手順としては以下のようになります。
1.文中から動詞の見当をつける。
2.活用の型を覚えておくべき動詞については暗記していることで型を判断する。
3.残りの、属する活用の型を暗記する必要のない動詞、については未然形にしてみる。
4.(未然形にする方法は打消の助動詞「ず」を動詞の直後につけて、それに合うように動詞を変化させてみるとよいのです)
5.未然形がイ段音の文字で終われば、それは上二段活用であると判断できる。
具体例で確認してみます。
古語で「落つ」という動詞があります。
カ変・サ変・ナ変・ラ変のいずれでもないですし、上一段活用、下一段活用でもありません。
よって、「ず」を接続させて未然形を割り出してみます。
「落ち・ず」となりますね。
「落ち」が未然形です。
「ち」はイ段音の文字なので、「落つ」は上二段活用であることがわかります。
なお、ほとんど上記の方法で判断できるのですが、例外的に判断が困難な動詞もあります。
それらは覚えておくしかありません。
具体的には、「恨む」と「忍ぶ」は、上二段活用と覚えておくしかありません。
なぜなら、「ず」をつけて未然形を判断しようとすると、「恨ま・ず」、「忍ば・ず」としてしまって、未然形がア段音になってしまいます。
ですが、「恨み・ず」、「忍び・ず」が正解で、イ段音ですから、上二段活用なんです。
これは難しい。
ちなみに、東京の上野に「忍ばずの池」がありますが、あれは古典文法に即してはいないのですね。
「行」の判断は、例えば、今見た例でいえば、「ず」の前の文字の行で判断します。
「恨み」は「み」でマ行、「忍び」は「び」でバ行ですね。
もちろん、基本形(※終止形)がわかっていれば、その最後の文字で判断してもかまいません。
「恨む」は「む」でマ行、「忍ぶ」は「ぶ」でバ行ですね。
ただ、最初のうちは基本形(終止形)があらかじめ示されていないと、基本形(終止形)はわからないと思います。
ここで、上二段活用の動詞の基本形(終止形)について考えてみましょう。
上で「起く」、また「落つ」という動詞を挙げましたが、これは現代語としては変ですね。
現代語では「起きる」、また「落ちる」です。
上二段動詞については古語と現代語では基本形(終止形)が一致しないんです(※「恨む」「忍ぶ」はこの点でも例外)。
ですから、最初は基本形(終止形)をけっこう間違えます。
それが原因で活用の型も間違えます。
では、どうすれば、基本形(終止形)がわかるのでしょうか。
まず、いったん現代語の基本形(終止形)にしてみてください。
上の例では「起きる」「落ちる」ですね。
そうしても、活用の型は間違えません。
例えば、「起きる」、また「落ちる」でも、「ず」をつけてみると、「起き・ず」、また「落ち・ず」となって、未然形がイ段音ですから上二段活用と判断できますね。
もし、「起きれ・ず」としてしまったのなら、「起きれず」は「起きることができない」の意味で、可能の意味が加わっているので、こういうのはダメなんです。
ここで、最初に、覚えてください、と書いた活用表を思い出しましょう。
再掲します。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
i | i | u | uる | uれ | iよ |
未然形がわかると、基本形(終止形)もわかることに気がつきましたか。
未然形は“i”で、終止形は“u”になっていますね。
ですから、「起き」ではイ段音の「き」をウ段音の「く」に、すなわち「起く」にすれば、それが基本形(終止形)なんです。
「落ち」ではイ段音の「ち」をウ段音の「つ」に、すなわち「落つ」にすれば、それが基本形(終止形)なんです。
ですから、上二段活用であることと未然形がわかれば、基本形(終止形)も、実はわかるんです。
最後に上二段活用の動詞で、ヤ行の動詞、以下3つ覚えておきましょう。
「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」
の3つです。
なぜかというと、例えばこれらが未然形の時など「老い」「悔い」「報い」となって、ア行かヤ行か区別がつかないのですね。
おっと忘れてました、なぜ上二段活用と呼ばれるのか、説明しておきましょう。
活用表をまたまた掲示します。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
i | i | u | uる | uれ | iよ |
“i”と“u”で活用していますね。
つまり、イ段音とウ段音で活用しています。
五段音を縦にして考えてみると、ウ段音は真ん中ですが、イ段音も合わせて考えてみると、全体的には上の方です。
上の方の二段音を使って活用するので、
上二段活用
なんです。
さて、以上で上二段活用の学習は終わりです。
9つある活用の型もあと残り2つです。
次回は、残りの2つのうちの1つ、下二段活用について学習します。
今回も、問題を解いて体得して、次に進みましょう。
(問題は後日添付)