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こんにちは。
前回は、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形、といった各活用形について学習しました。
今回は、9種類ある、動詞の活用の型のうちの5つ目、
上一段活用
について学習しましょう。
さて、これまで学んだものは変格活用と呼ばれるもので、同じ行(※カ・サ・ナ・ラの各行)だけで活用するものでした。
それに対して上一段活用の場合、ハ行で活用する動詞やヤ行で活用する動詞やマ行で活用する動詞など、行の種類がいろいろです。
面倒に思うでしょうが、それらの動詞全て覚えなくてはいけません。
次の通りです。
1.ひる
2.いる
3.きる
4.にる
5.みる
6.ゐる
これらについて、「ひる」1つを取ってみても複数ありまして、漢字で書き分けると、以下の通りです。
1.干る・嚔る
2.射る・沃る・鋳る
3.着る
4.似る・煮る
5.見る
6.居る・率る
意味や注意点を書いておきましょう。
1.「干る」は「干上がる」という意味です。
「嚔る」は「鼻をかむ」という意味です。
「はなひる」とも読みます。
2.「沃る」は「水をかける・注ぐ」という意味です。
小学校のときの社会でエジプトの地理を学ぶとき「肥沃(ひよく)な三角地帯」という言葉を学んだ人もいるんじゃないですかね。
あの「沃」です、「妖」じゃないですよ。
「鋳る」は「溶かした金属を型に入れてものをつくる」という意味です。
昔、なべ、や、やかんを「鋳物」(いもの)と言ってたんですけどね。
平成のみんなだと厳しいかな、最近、聞かないですから。
なお、「入る」(いる。古文では、はいる、ではない。)は上一段ではないですよ。
3.「着る」はわかりますね。
ちなみに「切る」は上一段ではないですよ。
4.「似る」「煮る」はいいでしょう。
5.「見る」は、意味が要注意で、「結婚する」を覚えておきましょう。
あと、「試みる」(こころみる)「鑑みる」(かんがみる)など複合動詞も上一段です。
6.「居る」(ゐる)は、ラ変の「居り」(をり)と紛らわしくて、漢字で書いてあると文法的には区別できない場合もあります。
その場合、意味的に判断するしかないのですが、最初のうちはあまり気にしなくていいでしょう。
上級者向けの注意になりますが、「居る」は、「(そこに)いる」というような状態を表すというより、「座る」といった、むしろ動作的な動詞です。
「(そこに)いる」といったような状態的な意味の場合は、古語ではラ変の「あり」ですね。
「率る」は「ゐる」と読みます。
「率ゐる」となることもありますね。
意味は全て「連れる」です。
「行」に話を戻すと、「る」の前を見るとわかります。
それぞれ、ハ行、ヤ行(※ア行ではありません。覚えるしかないですね。)、カ行、ナ行、マ行、ワ行です。
ワ行のところで、「ゐ」の文字が出て、これは何だと困った人もいるかも知れないので解説しておきましょう。
現代語の「わいうえを」は、古文では「わゐうゑを」なんです。
現代語のワ行の「い」「「え」が、古文では「ゐ」「ゑ」なんですね。
現代人のわたしたちが、普通に「い」「え」で表している文字の中には、実は古代では「ゐ」「ゑ」だったものが、けっこうあるんです。
古代の人々は使い分けていたのですが、発音が似ている(※厳密には同じではない、だいたい「ゐ」は「ウィ」、「ゑ」は「ウェ」)ので、古代のワ行の「ゐ」「ゑ」は、ア(ヤ)行の「い」「え」に吸収されてなくなってしまったのですね。
上一段活用の動詞については、
ひいきにみゐ・る
とまとめて覚えるようにしましょう。
では、いよいよ、活用に入りましょう。
3つの具体例を挙げて考えてみます。
「干る」「射る」「着る」の活用を以下示します。
3つを比べて、共通点と相違点を考えてみましょう。
終止形、連体形、已然形、命令形が、それぞれ、
「-る」「-る」「-れ」「-よ」
となっている点は共通していますね。
で、未然形、連用形、及び前記の「-」のところですが、全てイ段音であることに気付きましたか。
以上の点を踏まえ、前に記した3つの活用を1つの表にまとめると、次のようになります。
この表を覚えてください。
この表を覚えたら、あとはそれぞれの行について応用させることで、全ての上一段動詞について活用がわかるのです。
ナ行の「似る」について考えてみましょう。
「覚えてください」といった活用表の、”i”、の部分を「に」に置き換えればいいのですね。
次のようになります。
ワ行の「居る」についても考えてみましょう。
「覚えてください」といった活用表の、”i”、の部分を「ゐ」に置き換えればいいのですね。
次のようになります。
どうでしょう、だいぶ分かって来ましたか。
次に、基本形、語幹を加えた活用表を記します。
「干る」を例にとります。
語幹がありませんね。
「ひ」は全く変化していないのに、どうして「ひ」は語幹ではないのでしょうか。
実は、語幹というものは、必ず活用語尾とセットで成立しないといけないのです。
未然形と連用形は「ひ」一語なので、語幹と活用語尾の区別ができませんね。
こういう場合、「干る」全体について、語幹、活用語尾、ともに成立しないと考えるのです。
そういうわけで基本的に上一段活用の動詞について、語幹、活用語尾は成立しません。
ただ、「試みる」「鑑みる」「率ゐる」といった動詞については、それぞれ「試」「鑑」「率」が語幹になります。
例えば、「試みる」の未然形は「試み」となるのですが、「試」が語幹、「み」が活用語尾と考えることができるのです。
念のため、活用表を記しておきます。
さて、最後になりましたが、なぜ上一段活用というのか、説明します。
基本となる活用表をもう一度、表示します。
全ての活用形について、”i”、が最初にありますよね。
上一段活用の動詞は全て、”i”の音、つまりイ段音を使って活用するのです。
このイ段音というのは、五十音表でいう、ア段音・イ段音・ウ段音・エ段音・オ段音の2番目です。
この文章は横書きですのでわかりにくいですが、縦書きで考えるとイ段音というのは、中央のウ段音と比べると上の方にあります。
上の方にあって、ア段音・イ段音・ウ段音・エ段音・オ段音という5段の音の中の1つであるイ段音だけを使って活用するので、上一段活用、というのです。
上(の方にある)一段(だけを使う)活用、ということです。
さて、以上で上一段活用の動詞の学習は終了です。
いつものように手を動かして演習をし、体得してから次に進みましょう。
次回は下一段活用の動詞を学習します。
(添付ファイル後日)
前回は、未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形、といった各活用形について学習しました。
今回は、9種類ある、動詞の活用の型のうちの5つ目、
上一段活用
について学習しましょう。
さて、これまで学んだものは変格活用と呼ばれるもので、同じ行(※カ・サ・ナ・ラの各行)だけで活用するものでした。
それに対して上一段活用の場合、ハ行で活用する動詞やヤ行で活用する動詞やマ行で活用する動詞など、行の種類がいろいろです。
面倒に思うでしょうが、それらの動詞全て覚えなくてはいけません。
次の通りです。
1.ひる
2.いる
3.きる
4.にる
5.みる
6.ゐる
これらについて、「ひる」1つを取ってみても複数ありまして、漢字で書き分けると、以下の通りです。
1.干る・嚔る
2.射る・沃る・鋳る
3.着る
4.似る・煮る
5.見る
6.居る・率る
意味や注意点を書いておきましょう。
1.「干る」は「干上がる」という意味です。
「嚔る」は「鼻をかむ」という意味です。
「はなひる」とも読みます。
2.「沃る」は「水をかける・注ぐ」という意味です。
小学校のときの社会でエジプトの地理を学ぶとき「肥沃(ひよく)な三角地帯」という言葉を学んだ人もいるんじゃないですかね。
あの「沃」です、「妖」じゃないですよ。
「鋳る」は「溶かした金属を型に入れてものをつくる」という意味です。
昔、なべ、や、やかんを「鋳物」(いもの)と言ってたんですけどね。
平成のみんなだと厳しいかな、最近、聞かないですから。
なお、「入る」(いる。古文では、はいる、ではない。)は上一段ではないですよ。
3.「着る」はわかりますね。
ちなみに「切る」は上一段ではないですよ。
4.「似る」「煮る」はいいでしょう。
5.「見る」は、意味が要注意で、「結婚する」を覚えておきましょう。
あと、「試みる」(こころみる)「鑑みる」(かんがみる)など複合動詞も上一段です。
6.「居る」(ゐる)は、ラ変の「居り」(をり)と紛らわしくて、漢字で書いてあると文法的には区別できない場合もあります。
その場合、意味的に判断するしかないのですが、最初のうちはあまり気にしなくていいでしょう。
上級者向けの注意になりますが、「居る」は、「(そこに)いる」というような状態を表すというより、「座る」といった、むしろ動作的な動詞です。
「(そこに)いる」といったような状態的な意味の場合は、古語ではラ変の「あり」ですね。
「率る」は「ゐる」と読みます。
「率ゐる」となることもありますね。
意味は全て「連れる」です。
「行」に話を戻すと、「る」の前を見るとわかります。
それぞれ、ハ行、ヤ行(※ア行ではありません。覚えるしかないですね。)、カ行、ナ行、マ行、ワ行です。
ワ行のところで、「ゐ」の文字が出て、これは何だと困った人もいるかも知れないので解説しておきましょう。
現代語の「わいうえを」は、古文では「わゐうゑを」なんです。
現代語のワ行の「い」「「え」が、古文では「ゐ」「ゑ」なんですね。
現代人のわたしたちが、普通に「い」「え」で表している文字の中には、実は古代では「ゐ」「ゑ」だったものが、けっこうあるんです。
古代の人々は使い分けていたのですが、発音が似ている(※厳密には同じではない、だいたい「ゐ」は「ウィ」、「ゑ」は「ウェ」)ので、古代のワ行の「ゐ」「ゑ」は、ア(ヤ)行の「い」「え」に吸収されてなくなってしまったのですね。
上一段活用の動詞については、
ひいきにみゐ・る
とまとめて覚えるようにしましょう。
では、いよいよ、活用に入りましょう。
3つの具体例を挙げて考えてみます。
「干る」「射る」「着る」の活用を以下示します。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
干る | ひ | ひ | ひる | ひる | ひれ | ひよ |
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
射る | い | い | いる | いる | いれ | いよ |
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
着る | き | き | きる | きる | きれ | きよ |
3つを比べて、共通点と相違点を考えてみましょう。
終止形、連体形、已然形、命令形が、それぞれ、
「-る」「-る」「-れ」「-よ」
となっている点は共通していますね。
で、未然形、連用形、及び前記の「-」のところですが、全てイ段音であることに気付きましたか。
以上の点を踏まえ、前に記した3つの活用を1つの表にまとめると、次のようになります。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
i | i | iる | iる | iれ | iよ |
この表を覚えてください。
この表を覚えたら、あとはそれぞれの行について応用させることで、全ての上一段動詞について活用がわかるのです。
ナ行の「似る」について考えてみましょう。
「覚えてください」といった活用表の、”i”、の部分を「に」に置き換えればいいのですね。
次のようになります。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
似る | に | に | にる | にる | にれ | によ |
ワ行の「居る」についても考えてみましょう。
「覚えてください」といった活用表の、”i”、の部分を「ゐ」に置き換えればいいのですね。
次のようになります。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
居る | ゐ | ゐ | ゐる | ゐる | ゐれ | ゐよ |
どうでしょう、だいぶ分かって来ましたか。
次に、基本形、語幹を加えた活用表を記します。
「干る」を例にとります。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
干る | ○ | ひ | ひ | ひる | ひる | ひれ | ひよ |
語幹がありませんね。
「ひ」は全く変化していないのに、どうして「ひ」は語幹ではないのでしょうか。
実は、語幹というものは、必ず活用語尾とセットで成立しないといけないのです。
未然形と連用形は「ひ」一語なので、語幹と活用語尾の区別ができませんね。
こういう場合、「干る」全体について、語幹、活用語尾、ともに成立しないと考えるのです。
そういうわけで基本的に上一段活用の動詞について、語幹、活用語尾は成立しません。
ただ、「試みる」「鑑みる」「率ゐる」といった動詞については、それぞれ「試」「鑑」「率」が語幹になります。
例えば、「試みる」の未然形は「試み」となるのですが、「試」が語幹、「み」が活用語尾と考えることができるのです。
念のため、活用表を記しておきます。
基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
試みる | 試 | み | み | み | みる | みれ | みよ |
さて、最後になりましたが、なぜ上一段活用というのか、説明します。
基本となる活用表をもう一度、表示します。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
i | i | iる | iる | iれ | iよ |
全ての活用形について、”i”、が最初にありますよね。
上一段活用の動詞は全て、”i”の音、つまりイ段音を使って活用するのです。
このイ段音というのは、五十音表でいう、ア段音・イ段音・ウ段音・エ段音・オ段音の2番目です。
この文章は横書きですのでわかりにくいですが、縦書きで考えるとイ段音というのは、中央のウ段音と比べると上の方にあります。
上の方にあって、ア段音・イ段音・ウ段音・エ段音・オ段音という5段の音の中の1つであるイ段音だけを使って活用するので、上一段活用、というのです。
上(の方にある)一段(だけを使う)活用、ということです。
さて、以上で上一段活用の動詞の学習は終了です。
いつものように手を動かして演習をし、体得してから次に進みましょう。
次回は下一段活用の動詞を学習します。
(添付ファイル後日)
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